リネンの欠点は、「メンテナンス性、見た目の管理、耐久性、コスト」といった商業空間特有の実務的な要因によるものがほとんどです。メンテナンス技術の革新や価値観の変化によってリネンの活用が拡大することが期待されます。
シワになりやすい(=清潔感・高級感に影響)
リネンは天然繊維のため、シワができやすく取れにくい性質があります。ホテルのベッドリネンやカーテン、ファブリックは常に「パリッと整っている」ことが求められるため、シワ=だらしない・メンテナンス不足と捉えられることがあります。
メンテナンス性が悪い
一般的にリネンは洗濯により縮みやすく、毛羽立ちやすい素材です。綿やポリエステル系に比べると、業務用クリーニングの耐久性が低く、扱いが難しいという声も聞かれます。
高コスト・入手難
良質なリネンは高価で、輸入品が多く、全体的の高コストになる傾向があります。ホテル等では大量に均一な品質で調達する必要がある場合、安定供給性の確保が必要です。
風合いが「ナチュラルすぎる」ことへの懸念
リネンのざっくりした質感や色ムラ、天然素材らしい表情は、ナチュラルやカジュアルな空間にはぴったりです。しかし、高級感・非日常感・ラグジュアリー感を演出する場面では「野暮ったく」見えてしまうと感じられることも。ツヤやしなやかさを重視する空間には不向きとされることもあります。
耐久性・色落ちへの不安
紫外線に弱く、直射日光で色あせや劣化が進みやすい傾向があります。人の出入りが激しいホテルなどでは、見た目の劣化が早い素材は敬遠されやすいようです。
それでも、リネンが積極的に採用されているホテルもあります。
サステナブル志向のホテルや自然との共生や地域性をテーマにしたリゾートホテル、ナチュラル・オーガニック・和モダン系のブティックホテルなどです。
世界の一流ホテルでは、テーブルには真っ白なリネンのテーブルクロスが掛けられ、ベッド回りやバス回りにも滑らかなリネンが使用されています。きちんとアイロンが掛けられ手の行き届いた美しいリネンは、気持ちがよく背筋が伸びるような気持ちがします。